自由になりたいなら、自由を封印しろ?

バッドエンド

ある時から、カイルの息を潜めていたはずの「自分のため本能」が目を覚まし始める。

カイルは
「こんな素晴らしい組織を作った、このアイデアを生み出した自分は特別だ!」
「チームの仲間よりも取り分を多く得る権利があるはずだ!」
と思うようになった。

そして、カイルはこっそりと分け前をカイル40%、その他は20%ずつに変えてしまった。

ラッセルとハートランドは分け前を変えられたことにすら気がついていなかった。

しかし、オーカスタは違った。

オーカスタはカイルに分け前を元に戻すように訴えた。

しかし、カイルはオーカスタに

「誰のおかげでこんな安定した暮らしができていると思っている!」、

「そもそも俺がこの4人を集めなければ、どこでのたれ死にしてたかも分からんのだぞ!」

と怒気とともに一気にまくし立てた。

オーカスタは「いや…」と何か言いたそうだったが、「なんでもない…」とその場を去った。

後日、オーカスタは分け前のこと、その後のカイルの態度のことなどをラッセルとハートランドに話した。

ラッセルとハートランドは烈火のごとく怒り狂った。

「絶対にカイルを許さない!」

さらにオーカスタは2人をそそのかす。

「カイルを殺してしまおう」

「そうすれば、分け前をこれまでの20%から30%に増やすことを約束しよう」

ラッセルとハートランドは「分かった」とオーカスタの策に乗ってしまう。

そして、三日後の深夜…。

カイル殺害計画は実行されてしまう。本当にあっけなく…。

翌日、オーカスタ、ラッセル、ハートランドの3人で何事もなかったかのように、集団生活に戻っていった。

オーカスタは取り分を40%、ラッセル・ハートランドは30%づつ。

結局オーカスタは20%の取り分から、40%へ倍増。ラッセルとハートランドはそれに気がついていない。

むしろ自分の取り分が増えたことに喜んでいる。

オーカスタも「カイルがいなくなることで、全員が得をしているのだから、むしろ良いことをしたんだ」と自分に言い聞かせている。

続く…。

さて、この物語、絶望しかないだろうか。

でも、これが人間。

私だけが良い人間なんて、独善以外の何でもない。

これが人間で、その中で自分がどのように動けば良いかを考えて動くこと。

独善でも性善説でも性悪説でもなく、自己中心をどうすれば通せるか。

そのためには、自分すらも突き放して、世界を俯瞰して見なければ何も意味のある行動はできない。

さて、最後に物語の続きを少しだけ…。

オーカスタは1週間後、ラッセルとハートランドに殺害されます。

ラッセルとハートランドは別のより待遇の良いグループに入ってさらに良い生活を手に入れているようです…。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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