自由になりたいなら、自由を封印しろ?
全て自己責任の世界
カイルは本当に運が良かった。
自分だけが知る、食べられる植物が大量に生えている、秘密の場所を探し当てていたからだ。
カイルは、どうやら人よりも嗅覚が優れているようで、食べられる植物の匂いを嗅ぎ分けられる能力がある。
カイルは、自分自身にこの能力があることと、探し当てた場所のことは誰にも教えなかった。
自分だけ、少しずつその植物を食べながらなんとか今日を生きている日々。
そういえばこの間、草ばかり食べてたアイン道端で死んでいた。
毒草でも食べたようだ。
ヘイロンは三日前に熱を出してそのまま死んだようだ。
ルディは狩の帰りに暴漢に襲われて殺されたらしい。
みじかにいる人が常に死んでいく。そんな日常…。それが当たり前だった。
そんな中、カイルはふと気がついた、
あそこの4人組(名前も知らない)だけは何年もずっと生き残っている。誰一人欠けることなく…。
あんなに狩の得意で、腕っ節の強いルディも暴漢に襲われてあっさりと死んでしまったのに。
どうしてだろう?
どうして、あんな弱そうな奴らが生き残れるのか?どうして?
カイルは興味が抑えきれなくなり、彼らを観察するようになった。
4人組がどのような行動をしているかをひっそりと見守った。
どうやら、4人組のAとBは魚を捕まえるのが得意なようだ。
Cは狩用の武器を作るのが得意なようだった。
そしてDは…、
よく分からない。でもおしゃべりで記憶力が異常に良さそうだ。
1年前のこの時期は〇〇という魚がたくさん取れた。取れた場所はあの辺りだなど。とにかくよく喋る…。
しかし、この記憶がしっかり的を得ていて、魚が面白いように取れていた。
そして、その日AとBがとった魚をCとDにも分けている。
カイルは最初、どうしてAとBが自分でとった魚なのにCとDに分けるのかわからなかった。
自分の取り分が減るのにどうして?
どうして、自分がお腹いっぱいになるまで食べないのか?
最初は疑問だらけだった。
でも、観察しているうちに分かってきた…。