文節が分かれば、英語・中国語が簡単になる

英語・中国語学習の根底を見直す

「留学したい」「海外に関わる仕事がしたい」「海外旅行に行きたい」「ビジネスでグローバルな展開をしたい」などなど、様々理由で語学を学習される方がいると思います。

目的は様々ですが、英語を学習を進めていくと、どうしても壁にぶち当たってしまいます。それは多くの場合、「単語量が足りない」とか「文法力が足りない」といったような教育や指導を受けます。結果として記憶量の限界に達して、新しい単語や文法を覚えたと思ったら、さっき覚えたものを忘れてしまうということを繰り返してしまいます。

すごくドライに言ってしまいますが、根本の勉強法が違います。

「〇〇をたくさん覚えなければならない」という考え方そのものを変える必要があります。必要なことは、英語や中国語を話す人の頭の中を理解するということなのです。

そのために非常に役に立つのが文節です。

1.英語・中国語の文節って何?

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文節とはそもそも何でしょう?

簡単に表現すると、文章の切れ目と言えるものです。

例えば「私はコンビニに買物に行っている途中で知り合いの叔母さんに会い10分ほど話をしました。」という文章があった場合に、私達は無意識に…

「私はコンビニに買物に行っている途中で / 知り合いの叔母さんに会い / 10分ほど話をしました。」というように文章を区切って理解しています。

これが、「文節」です。

文節に分けることで、頭の中で「コンビニに行っていた」、「その途中で叔母さんに会った」、「叔母さんと10分話した」と話の整理がつけられます。

日本語を母国語とする私達は、これが自然とできるのです。

英語や中国語を話す人達も同じ作業を頭の中で行っています。それが分かれば「文法力が……」とか「単語量が……」とかはあまり関係ないことがわかります。

2.英語・中国語の文節を使ってみよう

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それでは英語を例にして見てみましょう。以下例文を読んでみてください。

例文:

For today’s orientation tour, I’d like to start from the production line of our best-selling dress shirts.

一文が長く、理解するのが難しい文章ではないでしょうか。

しかし、こんな文章も文節に区切れば話が見えてきます。

For today’s orientation tour, / I’d like to start from the production line / of our best-selling dress shirts.

というように上の文章は、3つの文節から構成されています。それぞれの意味は以下のようになります。

<今日のオリエンテーションは、 生産ラインから始めたいと思います、 我社で最も売れているYシャツの>

並び替えると…。

「今日のオリエンテーションは、我社で最も売れているYシャツの生産ラインから始めたいと思います。」となります。

これは英語の表現の特徴なのですが、ざっくりしたことを先に言って細かいことを後に言います。いきなり「I’d like to start from the production line 生産ラインから始めます」と言われても「何の?」と疑問が出てくるので、「 of our best-selling dress shirts(我社で最も売れているYシャツの)」と後から説明をするのです。

漫才のボケのような話し方ですね。わざと言いたいことを後に持ってくるのです。私は英語の表現は回りくどいなぁといつも思いますσ^_^;

例えば、以下の簡単な英語を直訳しても回りくどさがよくわかります。ツッコミながら訳すのが英語ですね。

I want to eat apples.

(I want 私はしたい(何を?)to eat 食べることをしたい(何を食べたいの?)apples リンゴを(やっと分かったよ、スッと言えよ!)」こんな感じでしょうか。最終目的が最後に来るのが特徴です。

日本語では「私はリンゴを食べたい」というように、すぐに最終目的物が出てきます。そしてそれを食べたいのか?それとも投げ飛ばすのか?は後で分かるという順番ですね。

話がずれてしまいました…。

何が言いたかったというと、ツッコミどころを探るように文章を読んでいくと、文節を捉えやすくなりますということでした…。何がだよ!何でだよ!誰がだよ!とツッコミながら英語や中国語を読んでみてください。そうするとその後にちゃんと答えてくれています。

3.英語・中国語を文節で区切ると何が変わるか?

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「1.文節」の例であげたような日本語の場合でも、もし文節で区切らなければ非常に長い文章で、一瞬では理解が難しいものです。

ですから、同じように長い外国語の文章を読む場合は尚更大変なのは言うまでもありません。しかし、文節でスラッシュを入れてあげることで、文章の単位が短くできます。文章が短くなると一目でパッと文章を理解ができます。後はそれを組み立てるだけです。

実はこの作業、日本語・英語・中国語、言語に限らず同じことをしているのです。どれだけ長いセンテンスも幾つかの文章の集合体なのです。短い文章を組み合わせた結果、複雑な意味を持つ文章になるのです。

もっと言うならば、どんな文章も「This is a pen.」レベルの文章の複合体に過ぎないということです。

こう考えると語学学習に対して、そんなに構えなくても良いと思っていただけるのではないでしょうか。

また、少し例をあげましょう。

This pen is very good.  (このペンはとても良い)

My mam sent me last week. (私の母親が先週送ってくれた)

という文章があります。それぞれ2つは簡単な文章ですね。

これを組み合わせると…。

“This pen, my mam sent me last week, is very good.”

(私の母親が先週送ってくれたこのペンはとても良い)

というように一つの文章にすることができます。

日本語の場合は、主語の前に細かい設定は話してしまいます。<私の母親が先週送ってくれたこのペンは>という具合ですね。

英語の場合は、このペンは(どのペンだよ!)、母親が送ってくれた(ペンは)とても良い、というように説明は後回しになるというイメージです。先程の章で触れた通り、やはりツッコミ待ちの語順ということですね。

このように、長い文章も結局は短い文章の組み合わせであるということが分かって頂けたかと思います。ですから、文章中にスラッシュを入れてあげるだけで、見え辛かった文章構成が、簡単なフレーズの組み合わせとして一気に見えてきます。

また、先程の英語特有のツッコミ待ちの語順を理解できていれば、後は簡単です。

4.英語・中国語文節パズルの法則

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中国語は知らない方が多いと思ったので例は挙げませんでしたが、基本の語順が英語と同様です。S+V+Oという基本構造です。ということは…、やはりツッコミ待ちの語順ということですね。

ここさえ分かってしまえば、後はパズルの組み方が言語によって違うというだけのことなのです。先に細かい描写を伝えてから、伝えたいことを説明するのか、伝えたいことの大枠を先に言ってから、状況の細かい描写をするのか。大きく分けると言語の特徴はこの2種類しかないと言っても良いかもしれません。

また少し話がずれてしまいますが、日本語に比べて、英語がここまで世界中で使われるようになった要因もこの語順が関係しているとも言われています。

日本語はまず状況描写をはっきりする語順です。ですから、文章の結論に達するまで、この人はどうしたいか、何を考えているかが分かりません。よく、「結局何がしたいの?」と聞きたくなるような話し方をする人がいますが、これも日本語の宿命かもしれません。

逆に、英語は「私は何をしたい、彼は何をするべきだ、何故なら…」とまず結論を述べてから、その証明をするように話をします。ですから、話を聞く側は、この人はこういう考えの持ち主だというのを前提として話を聞くことができます。ですから、あなたの考え方に私は、YesなのかNoかを言うために話を聞けば良いというスタンスがハッキリしています。

これが、ビジネスの場合には非常に有効です。何故ならビジネスは常に判断を迫られるため、右か左かをハッキリとさせておく必要があるからです。

完全に余談ですが、こんなことも思いながら勉強していると面白かなと思っています。

5.まとめ=英語でも中国語でもシンプルイズベスト

結局、シンプルにするということです。「この場合は、前置詞〇〇が必要で」「この場合は、関係代名詞〇〇が✖︎✖︎の修飾をしている」とか話している本人はそこまで意識していませんから。

所詮は「This is a pen.」レベルの組み合わせと考えた方が楽ですし、実際にその程度なのです。肩の力を抜いて、まずはスラッシュを入れてみて下さい。こんなに簡単だったのかと思えると思います。