中国人観光客への接客術

「爆買い」という言葉が使われ始めてしばらく経ちますが、今も多くの中国人観光客が日本へ訪れています。

2016年5月の統計では、50万人を超えています(日本政府観光局調査による)。2015年5月の観光客数は39万人弱ですから、まだまだ増加傾向にあると言えます。

中国人の習慣を知る

中国人観光客に対しては様々な意見があることは私も重々承知しています。特にマナー面の悪い話というのは多く聞くことがあります。私が聞く分には中国人の習慣を理解していれば、対応は可能なものが多いとも感じています。

「郷に入っては郷に従え」と言われればそれまでですが、今後、国を問わず人の移動が盛んになっていくのは間違いありません。また、こんな習慣があるんだと笑い話としてでも知っておくとイチイチ腹の立つことも少なくなるかもしれません。

一言で言ってしまうと中国では「公共心」というものが育っていないのが現状です。まだまだ、「私」または「私の家族・親しい人」というものが最優先されます。何故か?以前の共産主義体制の影響がまだ根強く残っていると言えます。例えば、市場経済導入前までは配給制でした。配給は早い者勝ちでした。我先にと貰いに行かなければくいっぱぐれてしまい、家族を食べさせることができませんでした。ですから、とにかくどんな手を使ってでも他人よりも早く前に行く、早くに配給をもらうという文化が特に50代以降の人には根強く残っています。

また、異常なまでの合理性があります。例えばたばこのポイ捨て、ごみのポイ捨て、唾・タンの道に吐くなど日本人から見ると多くのマナー違反(公共性の欠如)が見られます。何故でしょうか。これは毎朝政府の道路清掃が入ることを知っているからなのです。一度でも中国に行かれた方はご存知かもしれません。夜中の道端には食べかすや、ゴミが散乱しています。しかし、朝になるとそれが無くなっているのです。ですから「どうせ道路清掃が入るのだからいいでしょう」という考え方を生んでしまっているのです。

またレストランにおいても日本人が驚くことが起こります。食べかすや肉の骨、たばこの吸い殻などなど、何でも机の上や地面に平気で捨てます。これも「どうせ店員が机を拭くし、床清掃をするのだから良いでしょう」という考えが根本にあるからです。

そこには「金(税金)を払っている人」と「金を受け取る人」といった考えしかありません。ですから、公共のスペースを利用している人は只の他人。関係のない知らない人という感覚です。一緒に公共スペースを使用している人という感覚がないのです。

他にも・・・

公共の場で大声で(携帯電話)話す

掛かってきた電話にはどんな状況でも最優先で出るという暗黙のルールがあります。携帯しているのだから常に出なければ信用ならない人だと思われてしまうという心理があります。中国の電車やバスに乗ると相当数の人が誰かと通話しています。

唾・タンを道に吐く

日本に来る観光客の中には田舎のお父さんやお母さん孝行のために日本に両親を連れてくるということもよくあります。ご両親は農村育ちで、唾やタンはすぐに吐いてしまう癖がついてしまっている人がいます。

トイレの便座に土足で乗る

便座は誰が座ったか分からない汚いものだから、座りたくないという心理があります。日本ですとほとんどのトイレに使い捨ての便座カバーが置いてありますが、中国にはまずありません。そこでどうするかというと便座に靴でのぼり、和式トイレのように使用するのです。日本人なら、トイレットペーパーを便座カバー代わりに使うという対応になるでしょう。しかし、どうせ汚いから汚い靴で乗っても問題ないと考えるのが中国人の多くの考え方です。

これを見ると何てダメ国民なんだと思ってしまうかもしれません。ここまで私自身も徹底的にひどく書いてきました。しかし、これが現状です。

こんなことを言っても今更信じられないかも知れないですが、それでも私は中国が大好きなのです。それは人間としての強さを持っているからです。そこには学ぶべきことが多くあります。別の機会に強さの話はしたいと思います。

接客に中国語は話せなくてOK

さて、ここまで接客の話は一切してきませんでしたが、まずは中国人の習慣や考え方の根幹を理解したうえで、応対するのと、日本人の常識だけで接客するのでは全く対応が違ってくると思い、先に習慣を紹介しました。

では、接客の話をしましょう。どのように接するかを接客という一部分だけを取ると、中国語を話せる必要は全くありません。発音も日本人にとっては相当難しいものです。1ヶ月やそこらですぐに意思疎通できるレベルになれる訳でもありません。

ですから、おすすめは、必須表現を表にして持っておくことです。

観光客は大体買いたい物は決まっています。ですから何が必要なものかを聞き出すこと・こちらが理解できればほとんどの観光客の要望は満たすことができます。

使ってみたいという方には現在作成中の中国人観光客対応のお客様対応必須表現表を無料でお配りしようと思っています。完成しましたらお知らせしますね。